少し古い作品になります。そしてSFです。1巻だけですが超大作です。
こちらです!少女マンガでSFは意外とあると思うですが、SFはお好きでしょうか?私は好きです。好きですとは書きましたが詳しくはありません。いつも大して詳しくはない私です。
SFというとサイエンスフィクションの略称であって科学的な創作かなとは思うのですが、THE科学!というよりは不思議なもの・近未来的なもの・宇宙とかなんかよくわからないもののジャンルに付けられている名称なのかなと私は思っています。
萩尾望都先生・スターレッド
作者はあの萩尾望都先生です。説明が要らないほどに超有名な漫画家さんであり、少女マンガの神とも呼ばれていて、「トーマの心臓」「ポーの一族」「イグアナの娘」「残酷な神が支配する」「王妃マルゴ」などなど名作が数多く存在します。私も一部を読ませていただいていますが、すごい。人間を人間として描いている感じがすごい。美しいものも汚いものや卑しいものも優しさも全部描かれている。ただただ平和に楽しく読むだけの作品にならない。生きている人間がそこにいる、そんな感じなのです。そして心理描写や画面の見せ方、表現する力がものすごくて引き込まれるのです。
萩尾先生のSFというと私は先に「11人いる!」を読みました。面白いです。面白かったからこそ次に「スター・レッド」に手が伸びました。どちらも面白いのですが私の衝撃がより強かったのは「スター・レッド」です。すぐに友達に勧めました。
読んだ後はSF映画を見たようなそんな感覚になりました。始まりは私の生きている世界とは全然違う設定の近未来で、そっと足を踏み入れていくような感覚になります。こういうジャンルのSFの少女マンガを読むとだいたい入りはみんなそんな感じです。その世界のキャラクターたちが当たり前にすることや、話す単語が私には当たり前じゃないのです。服装や乗り物、食べ物や街並み、操作する機械に使う単語、そして社会や政府の仕組みの違いに最初はすこし様子を伺いながら入っていくのです。
SFマンガを読むときに抵抗感が拭い去れないとなかなか世界に入って行けないことがあります。そう言うつもりがないのにうまく楽しめない時もあります。作品との相性というのはあるもので、例えば少女マンガをひと作品読んでみて「これは合わないかも」と気が付いたあと、「じゃあ今度はこれ読もう」と別の作品に手を伸ばしたりするのが普通だと思います。それは少女マンガは広い世界で、自分に合う作品があれば合わない作品もあると知っている人が多いからです。けどSFだと数多く読む機会がない方の方が多いように思いますので、最初に出会った作品がどうにも世界に入っていけなかったりすると「SF合わないかも」と考えてしまうケースがたまにあります。
私はSFにそんなに抵抗はないつもりですが、それでもどんなものでも読みますとは言えませんし、合わないものの方が多いかもしれません。そんな私ではありますが、読みました「スター・レッド」。もうなんていうか面白かった!これが全てです。面白さを言葉にするとなぜこんなにも伝わらなくなってしまうんだろうと思うのですが、語彙力の問題のような気もします。
最初の舞台は地球ですが、途中から火星が舞台になります。モノ・トリ・テトラ・ペンタ、火星人の世代を示す言葉なんですが、なんかこういうのがSFっぽいですよね。気づくと当たり前に覚えてるこの世界限定のワード感、オタク心をくすぐります。
壮大なスケールのお話ではあるのですが、置いてけぼりにされずに読むことが出来ます。SFを苦手になるパターンに置いてけぼりになるということがあると思うのですが、私の感覚では感じなかったです。ストーリーは予想できないことばかりですが、ただただ引き込まれていきました。私たちが暮らす現代よりも明らかに進んだ近未来のお話なのに同時にテクノロジーに頼らず生きている人たちが存在します。それは色々なしがらみのせいでもあり、持っている力のせいでもある。いや、面白い。
今の萩尾先生の絵柄とは少し違います。このころの絵柄好きです。文庫版がでた大分あとに私はこの作品に出会ったので、萩尾先生の作品は本当に長い間多くの人に愛されているんだなと思います。何十年も経って私と出会って私に衝撃を与えたということですから。すごいですよね。
全一巻なので読み始めやすいと思います。良かったらぜひ読んでみてください!